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売上を伸ばしたい
これは業種にかかわらず、常に経営者が抱える悩みでしょう。
売上を増やすためには、自社の製品を売り、対価をもらうよりありません。そのため、「自社の製品を売ること」は非常に重要です。
製造業に身を置いていると、どうしてもものを作ることに比重が置かれがちです。製造業の基本はQCD(品質、コスト、納期)ですからそれはそれで悪くないのですが、売上を上げるという意味ではそれだけでは不十分です。
ここでは売上を増やすための方法をシンプルに考えてみます。
2024年6月13日
製造業と一口で言っても、世の中には様々な業種業態が存在します。全てのケースをカバーして議論することは困難ですが、大半の業種においては売上を増やす方法には二つしかないと言えるでしょう。
売上=販売数量×単価
上記の式が指し示す通り、売上を増やすためには販売数量を増やすか単価を上げるかのどちらか、または両方を行うしかないのです。もちろん、フィールドサービスの売上割合が高かったり、修理などのメンテナンスで売上を上げている製造業も存在します。しかしそれでも数量を件数と置き換えたり、単価を稼働時間と置き換えて自社事業に合うように考えてもらえれば良いでしょう。
それぞれについてシンプルに考えていきましょう。
製造業における販売数量とは、ようはもっと多くのものを作り、売っていくということになります。ということは、買い手がいないことには始まりません。
この買い手をかみ砕くと、既存顧客と新規顧客に分けられます。すなわち、
ということになりますね。簡単な理屈です。
ところでどのような製品でも、必要量というものがあります。一人の人間や一つの会社が求める同一製品の数は、無限大というわけにはいきません。既存顧客に自社製品を”もっと”買ってもらうことは、既に必要量を買ってくれている顧客にそれ以上を売ろうということになるため、急に取引を拡大することは困難でしょう。もちろん新しいプロジェクトが立ち上がるなどの事情が伴えば別ですが、そうでなければこの”もっと”はさほど大きくないことが想像できます。
一方で、既存顧客とは連絡が取れる間柄であることから、アプローチ自体は易しいと言えます。新規顧客に販売すれば大きく売上を伸ばす可能性がありますが、何の伝手もない相手にいきなり取引をしてもらうことはなかなか難しいことです。つまり下記のような関係性にあると言えそうです。
次に、単価を上げることを考えてみます。
単価を上げると書くととても単純なようですが、実は単価を上げる方法はいろいろと考えられます。いくつか列挙してみましょう。ここで単価とは、売上を占める製品の平均単価としています。
実はこの4つ、学術的には”アンゾフの成長マトリクス”という考え方が参考になります。”アンゾフの成長マトリクス”に関しては別の記事で取り上げるとして、上記4つを実施すれば販売単価が上がりそうですね。
画期的な新製品が出来て、その付加価値から高値でどんどん売れる。これは理想的で、製造業である以上、世に付加価値を提供する新製品を検討し続けることは使命と言えるでしょう。常にその努力は続けねばなりませんが、そうポンポンと産み出すことは容易ではありません。
一方で既存製品を新規顧客に売っていくことは、実はそう難しくはありません。既存製品であるということは、既に一定数売れているということであり、一定数売れているということは、それを必要とするニーズがあるということです。同じようなニーズを持つ人や会社を見つければ、売れる可能性があるということです。
最後の既存顧客に値上げ交渉をする、というのは最も直接的な手法です。これを成功させるためには、”取引依存度を下げる”ことが非常に重要です。これは中小企業庁が発行する「中小企業白書」にもたびたび取り上げられるテーマであり、重要でありながら意外と見落とされやすいことです。
取引依存度を下げることについても別の記事で紹介します。ここでは簡単なイメージとして、「売上の大半を占めている取引先に対しては、値上交渉をしにくい」ことを考えてもらえれば良いと思います。万が一取引量を減らされたりしたら大きな痛手になりますし、物量が大きいので取引先からしても逆に値下要求をしやすくなっています。取引量を減らせないので、泣く泣く値下要求を飲まざるを得ないケースも多いでしょう。
以上をまとめると、単価UPの手法は下記のようになるようです。
ここまで売上について考えてきましたが、近々に売上UPを実現する方法が見えてきたでしょう。
それは「既に売れている製品(または技術)を、まだそれを買っていない新規顧客に売ること」です。
いわゆる新市場開拓戦略ですね。中小製造業にとって、この新市場開拓戦略は極めて重要です。中小企業はどうしても自社での営業能力やプロモーション能力に限界があるため、自社製品を知らしめる手段が乏しいケースがほとんどです。そのためせっかく良い製品や技術を有していても、それを十分に社会に浸透させることができないでいます。
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